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可変抵抗器のお話。

今日は可変抵抗器のお話。

可変抵抗器とはポテンショメータの事で楽器を触ったことがある方はPOTとかボリウムとかの名称のほうが馴染みがあるかもしれません。抵抗値を連続的に可変させる部品で音量や音質、電子回路的には電圧や電流をコントロールするときに使います。抵抗値の変化するカーブに種類があるのですがこのページあたりがわかりやすいかと思います。
http://www.marutsu.co.jp/contents/shop/marutsu/mame/78.html

◯ボリウムの選び方
 一般的には音量調整にはAカーブ、音質調整にはBカーブと言われていますが実際にテストしてみると当てはまらないこともしばしばあります。例えばギターのように最大音量から絞って使うみたいな場合はAカーブは使いにくかったりします。
 音量をどこで調整するかでも変わります。添付画像の回路AではAカーブ、回路BではCカーブが自然な感じになります。
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ボリウムのカーブと抵抗値を選択するとき、私は基本的にツマミが真ん中の位置が標準になるように設定するのが理想と考えています。
 U-Ⅱでは使い心地を徹底的に検証した所、スレッショルド、レシオ、レベル、リリースがBカーブとなり、アタックのみがAカーブとなりました。

◯ボリウムの材質の違い
固定抵抗器に炭素皮膜や金属被膜があるようにボリウムにも種類があります。

 炭素皮膜型
 金属巻線型
 サーメット型
 導電性プラスティック型

などです。一般的に多く用いられるのは炭素皮膜型。半固定抵抗で精密な調整が必要なところにはサーメット型。大電力が必要な所は金属巻線型。高音質な導電性プラスティック型。このように使われます。それぞれ一長一短があります。U-Ⅱでは炭素皮膜を使っています。音質を求めるには導電性プラスティック型なのですが、このボリウムには以下の短所があります。
 機械的強度が弱い
 帰還回路部分の可変には使えない
 ギャングエラーが大きい
 非常に高価
据え置きであまり動かさないオーディオアンプとは違い、グリグリ回したり機械的ショックの多いエフェクタには適さないと判断しました。また炭素被膜でも種類があり高音質なものがありましたので、U-Ⅱではそれを採用した次第です。

◯ボリウムの構造の違い
 開放型と密閉型があります。耐久性は密閉型に軍配があるのですが、音質はまた別の話です。密閉型は東京コスモスのRVシリーズがそれに当たるのですが、このボリウム、絶縁型でパネルに取り付けてもアースされない構造になっています。その為金属カバーと抵抗体の間で静電容量をもち、場合によっては回路が発振する場合があります。使用する際は金属カバーをアースに落とす必要があります。
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 ボリウムの金属カバーですが、メーカーによってこの背中の部分にハンダが乗るものと乗りにくいものがあります。アースポイントの共用ができるのでハンダが乗るものの方が使いやすいです。U-Ⅱでは1箇所だけボリウムの背中を使ってアースしています。1点アースになります。
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◯在庫しているボリウム
 開発や試作の段階では非常に沢山の種類のボリウムを使います。私はAカーブとBカーブの100Ω~1MΩをそれぞれストックしています。CカーブはAカーブの反対ですのでテストでAカーブを使いカーブの具合を確認してからその都度購入しています。
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ボリウムは音質もさることながら使い勝手が非常に重要です。カットアンドトライで追い込んでいく必要があります。


 
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U-Ⅱのレベル検出回路。オペアンプのお話。

今日はレベル検出回路と演算増幅器のお話。

◯レベル検出回路について
 U-Ⅱは大まかに言いますと音声信号回路とレベル検出回路の2つで構成されています。音声信号回路は「U-Ⅱの音質の秘密その1」で取り上げましたいわゆるアナログな音声信号、例えばベースの音ですとかギターの音をコントロールする回路です。レベル検出回路とは音声信号を直流電流信号に変換し、ゲインリダクション動作をするアナログフォトカプラーを駆動する回路です。

 レベル検出回路は信号変換が目的ですから音質に拘ったパーツは必要ありません。回路基板ごとのバラツキを抑えるために精度のほうが大切ですが、抵抗、コンデンサともに誤差5%のもので十分です。使用するオペアンプもFET入力であるということだけ。基板も普通のプリント基板で大丈夫という考えでした。ところが試作を繰り返すうちに次のことがわかりました。

1.プリント基板とユニバーサル基板によるPtoP配線では動作に差がある。
2.使用するオペアンプで音が変わる。

1の原因はプリント基板のパターンの薄さに起因するものでした。アナログフォトカプラのLEDを駆動する電流はピークで約20mA、それがパルシブな動作を必要とします。そうなると電源周り、LED駆動周り、ピークホールド回路周りに「瞬間的な大電流」が流れることになります。PtoP配線は銅単線を使用しますから十分なのですがプリント基板の銅箔では貧弱なのです。解決法としてパターンの必要部分に0.8mm銅単線で裏打ちを施しました。
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2の原因も根本の部分は1と似ています。「瞬間的な大電流」を供給できるかと言うのがポイントです。オペアンプの仕様で「出力電流が大きいもの」、「動作が速いもの(スルーレートが高いもの)」を満たすものを使用するとコンプ動作が自然になり出音も良くなります。U-Ⅱでは各社からサンプルを取り寄せ、動作が安定し音質が良くなるものを選定しました。
 結果的に2回路入りオペアンプを4個も使用することになりました。電源容量が必要になりますがそのお話はまた別の機会に取り上げたいと思います。

◯演算増幅器について
ここからは少し余談になります。演算増幅器とはオペレーショナルアンプリファイアーのことでオペアンプと呼ばれます。回路構成は様々なものがありますが一般的に差動増幅段・中間増幅段・出力段で構成され、シリコン基板の上に全て作り込まれモノリシックICとして1つのパッケージングにされます。もちろんオペアンプはディスクリート部品でも作ることが出来ます。
 IC化されたオペアンプは動作が安定、小型、選択肢が多い等の利点があります。ディスクリートで作られたオペアンプは設計が自由、音が良い(設計による)等の利点があります。エフェクタ界隈や一部オーディオ界隈ではICよりディスクリートの方が高級で高音質と考えられており有難られる傾向があります。ところが最近は産業用でもオーディオ的に素晴らしい動作をするICが増えており適切な外付け部品を使用するとディスクリートに負けない音質を作ることが出来ます。また、歪物のエフェクタでは古い設計のICの方が出音がエモーショナルな場合もあります。
 ディスクリートを謳い文句にした製品も多くありますが適材適所であると私は考えます。実際ディスクリートではあるものの、レイアウトやパーツセレクト、配線材の選択や取り回しが悪く、オペアンプを使用したものよりナローレンジで音質の悪い物もあるようです。IBBI、TOGではICとディスクリート回路をバランス良く使用し、全てのバランスやクオリティを上げる選択をしています。

 能書きが長くなりましたが、出音が全てです。弊社の製品をお手にとる機会がございましたら是非お試しください。

今回はU-Ⅱのワイヤーのお話です

U-Ⅱの音質の秘密その2

今日はU-Ⅱに使用しているワイヤーについての話を。

 部品や回路で音が変わるのは誰もが理解している事ですが、電線・ワイヤーに関しては未だに「変わらない」「オカルト」と言われることが多く、実は私もまだタダの自作屋だった時は全く電線にはこだわっておらず「被覆が溶けずに曲げに強ければいい」と考えておりました。

 電線の音が重要と思い知ったのはUltimate Comp 1開発の時です。第1試作の時、普通の電線で作ったら出音がどうも腰が弱く迫力も無く、そこで試しに1mmの単線で音声信号回路を組み直した所、非常にガッツのあるサウンドに激変しました。更にTone of Goldでギターペダルを制作する際にビンテージワイヤーを採用しておりますが、ヒアリングを繰り返した所ビンテージワイヤーには現行のワイヤーでは再生できない非常に音楽的な音が出ることが分かっておりました。
このようなことからU-Ⅱに使う電線は性能的な部分は勿論、音楽的でエモーショナルなサウンドを求める吟味しようという事にになりました。

1mm IV線
 黒くて太い線が1mmの単線です。Ultimate Comp 1で使用していたものです。通常の音声回路には主にこの線を使用しています。現行の産業用電線ですが1mmという太さの単線なので前述したようにガッツのあるサウンドになります。0.8mm~1.2mmで検討しましたが、太すぎると大味でかつ取り回しが悪くなる、細いと音も細くなる傾向があり1mmがバランスの良い太さの様です。
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アナコンダ AWG18単線
 入力ジャックからフットスイッチまでの配線に使用しています。赤白被覆のものです。50年代ビンテージワイヤーでとてもまとまり良く耳障りの良い音です。絹巻蝋付け非メッキの銅線。
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レンツ AWG16単線
 出力ジャックからフットスイッチまでの配線に使用しています。緑白被覆のものです。これもビンテージワイヤーです。布被覆錫メッキの銅線。劇薬といっても良い音質でとても派手で解像度の高い音がします。とても硬くその硬さがサウンドのストレート感を出しているように感じます。
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 アナコンダとレンツというビンテージワイヤーで味付けをすることによりより特別で音楽的なサウンドを再生することが出来ました。バイパスでも信号はこの電線を通りますのでU-Ⅱを繋いだだけで音が変化するのがお分かりいただけると思います。2つのワイヤーを混ぜて使うことで両方の良い部分を引き出しています。入力と出力どちらに入れるかでもサウンドが変わります。

 電源周りと制御信号周りの電線は音声信号が通りませんので、特に単線やビンテージワイヤーを使う必要がないのですが、それでもパルシブな信号が通ったり、大電流が通ったりしますのでAWG22の太さは必要です。AWG22の撚線を使用しています。

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以上のようにレイアウトからパーツセレクト、各部配線の選択から取り回しまで拘り、エフェクトスルーの音ですら素晴らしい。。。

それがU-Ⅱと言うペダルです。

U-Ⅱの中身を少しずつ公開して行こうと思います。今回は音声回路基板について

U-Ⅱの音質の秘密その1

ここでは音声信号が通る基板部分を取り上げてみようと思います。

 まず部品ですが、10KΩまでの低抵抗はDALE社のNS-2Bという無誘導巻線抵抗を使用しています。この抵抗は実にクリアーで且つ音が太く素晴らしい音質を持っています。画像にある黒い細長い部品です。価格はいわゆる普通のエフェクター等に使われている1/4Wカーボン抵抗の500倍位しますがこれに代わるものは他にはありません。それだけ素晴らしい抵抗です。入力インピーダンスを決める高抵抗は巻線抵抗では存在しませんので、タクマン電子社のREX75Gというカーボン抵抗を使用しています。高抵抗は金属皮膜、カーボン皮膜、等色々あるのですがヒアリングの結果ワッテージの大きいカーボン被膜抵抗がベースに合うという結論になり採用しました。タクマン電子の抵抗はリード線が無酸素銅であったり内部も高熱伝導セラミックで出来ております。部品の価格や質だけで音の善し悪しが決まるわけでは有りませんが、ヒアリングを繰り返して吟味した結果このような組み合わせになりました。
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 回路構成ですが非常にシンプルで、おおまかに言うとオペアンプによる2段増幅回路となっております。信号経路に入るコンデンサはたった1個だけでほぼDCアンプと言ってもいい構成になっています。画像の赤い四角い部品がそのコンデンサでWIMA社のMKS4というものを使用しています。このコンデンサは無くても回路は動作しますが「味付け」として入れています。ベースに合う粘り気と太さを演出してくれます。
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 最後に実装です。部品同士がなるべく近く、端子が密集するようなレイアウトにしてあります。
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基板の裏を見ていただくとお分かりいただけると思いますが、ハンダ箇所が箇所箇所で密集していると思います。ハンダの数と量を減らすように心がけています。部品同士を結ぶパターンは0.8mm~1.0mmの太いメッキ線と銅線でつないでいます。プリント基板のような細いパターンだと音も細くなりますが、このようにしっかりと配線すればそのようなことは有りません。
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 回路構成、部品の質、実装技術が一体となってエフェクトONにした時に密度があり、太い、艶のあるサウンドが再生されます。
 
 次回は配線材などを取り上げてみようと思います。
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